【年金払いたくない】払わない選択肢はある?払わないとどうなる?を解説します
真面目に払っていても、将来支給されるか分からない年金。
ここ数年はデータ入力ミス、年金支給漏れなど不祥事も相次いでいます。おまけに2017年9月には厚生年金の保険料率も引き上げられました。
これにより、2017年9月以降の厚生年金保険料率が18.3%に固定され、 企業で働いている人に大きく影響を及ぼすことに。
『こんな状態で、将来年金は確実にもらえるの?』
『年金を支払わないという選択肢はあるの?』
と思ったことはありませんか。
今回は、出来れば年金を払いたくない…とお考えの方に、そもそも年金を支払わないという選択肢はあるのか、もし年金を支払わないとどうなってしまうのかについて紹介します。
年金制度について
そもそも年金制度とは何なのでしょうか。しっかりと理解する機会はなかなかないので、ここでおさらいしてみましょう。
公的年金制度は20歳以上60歳未満の「現役世代」が払った保険料を高齢者に給付する仕組みです。
また、日本の公的年金制度は20歳以上のすべての人が共通して加入する国民年金と、会社員が加入する厚生年金などによる「2階建て」と呼ばれる構造になっています。
原則、国民年金の納付済期間と免除期間、厚生年金、共済年金の加入期間を合算して25年以上あれば、老後にはすべての人が老齢基礎年金をもらう権利が得られます。
厚生年金などに加入していた人は、それに加えて老齢厚生年金などを受け取ることができます。
つまり、年金制度とは働いている世代が支払ったものを年金給付に充てる、いわば「仕送り」のようなものです。
年金保険料について
それでは、年金保険料国民年金保険料と厚生年金保険料にはどのような違いがあるのでしょうか。
まず、国民年金保険料ですが、「基礎年金」とも呼ばれ、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の国民は全て国民年金の被保険者となります。
これに該当する国民が、国民年金を支払うことは義務です。
被保険者には第1号、第2号、第3号の3種類があり、厚生年金保険に加入していない人は全て第1号または第3号被保険者となります。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
第1号被保険者
自営業者や学生などがこれに該当します。国民年金のみに加入しており、毎月定額の保険料を自分で納めることとなります。
第3号被保険者
厚生年金保険に加入している被保険者に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者がこれに該当します。
ただし、65歳以上70歳未満で老齢または退職を理由とする年金の受給権がある人は除きます。
例えば専業主婦など扶養されている人は第3号被保険者です。
厚生年金制度などで保険料を負担しているため、個人として保険料を負担する必要はありません。
厚生年金保険は、国民年金に上乗せして支給される年金です。
国民年金に厚生年金保険の受給額が加算され、合計金額をもらうことになります。
厚生年金保険に加入している人は第2号被保険者となり、これについては以下の通りです。
第2号被保険者
会社員や公務員が該当します。
第2号被保険者は国民年金保険料にプラスして厚生年金保険料や共済年金保険料も支払うこととなります。
毎月定率の保険料を会社と折半で負担します。保険料は毎月の給料から天引きされます。
こうして見ていると、年金制度は素晴らしいもののように感じられます。
しかし、私たち現役世代が今後もらえる年金の額は減っていくとされ、理由は「少子高齢化」が挙げられます。
公的年金制度は働き盛りの人たちが支払ったものを高齢者への年金給付に充てる「仕送り」のようなものでした。
ところが、今の日本では少子高齢化が進んでいます。
子供が減って高齢者が増えるということは、仕送りを支払う人数は減っているのに仕送りを受けとる相手の数は増えているということです。
現役世代の数が減少するわけですから、それだけ1人当たりの負担額は増えることになります。
しかし、それにも限界があります。実際、厚生年金の保険料は2004年から段階的に引き上げられてきましたが2017年9月をもって引き上げが終了しました。
そうなると次は年金の受給額を減らすしかありません。これが将来年金はもらえないと言われている所以です。
年金を支払わないとどうなる?
自分たちが払う金額は多く、将来もらえる受給額は減らされるとなると払いたくないという気持ちになるのはある意味自然です。
それでは年金保険料を払わないとどうなるのでしょうか。
そもそも、国民年金への加入は20歳以上の国民の義務であるため、私たちがどんなに払いたくないと思っても「払わない」という選択自体が出来ません。
もし仮に、支払わずにいると以下のような事が起こります。
老後に年金がもらえない
今まで保険料を払ってこなかったものをもらえないのは当然です。
老齢年金をもらう権利を得るには原則、国民年金の納付済期間と免除期間、厚生年金、共済年金の加入期間を合算して25年以上の期間が必要でした。
たとえ1ヶ月足りないだけでも、条件を満たしていなければ老齢年金は1円ももらえないのです。
年金の加入期間が足りず、年金をもらえない「無年金者」となります。生活資金が大幅に減るため、老後の生活への影響は避けられないでしょう。
納付奨励通知書が届く
年金制度を運営していくために、国民年金保険料の未払いが続くと保険料納付の案内が届きます。
日本年金機構から「国民年金未納保険料納付勧奨通知書」が送られ、ハガキに保険料を納めていない期間と金額が記載されています。要するに「催告状」です。
また、日本年金機構から保険料の収納業務を委託された民間業者が電話や戸別訪問するケースもあります。
悪質な滞納者に対しては、国民年金法第109条の5等により、国税庁に滞納処分の権限が委任されます。
ただし、2017年7月13日以降、訪問員の収納業務は中止されているため、集金をされることはありません。
それでも支払わない場合は、最終催告状が送られてきます。
自主的な納付を促す最後の通知であるとともに、差し押さえ一歩手前のお知らせでもあります。
最終催告状の次に届くのが督促状です。督促指定期限を過ぎると滞納処分が開始されます。
財産調査の後、差押さえ予告がされ捜索・差押えが行われます。
年金保険料を払いたくないから払わない!では、想像以上に大事になる上に大切な財産まで差押えられてしまうのです。
年金の支払を少しでも安くする方法
保険料を支払わなければならないのは分かりましたが、それでも支払う金額は少しでも安い方が良いですよね。
それでは、国民年金保険料を節約する方法はないのでしょうか。
実は、国民年金には「前納割引制度」というものがあります。内容は以下の通りです。
<口座振替による前納>
1.2年前納(4月~翌々年3月分)
2.1年前納(4月~翌年3月分)
3.6ヶ月前納(4月~9月分、10月~翌年3月分)
4.当月末振替(早割)本来の納付期限よりも1ヶ月早く口座振替
まとめて前払いするとそれぞれ割引が適用され、割引額は2年前納が最も大きいです。
現金及びクレジットカードによる前納も可能で、これにも割引が適用されます。
まとめ
負担額は増えていくのに将来もらえる金額が減ると言われている年金。保険料を支払いたくない気持ちになるのも当然と言えます。
しかし、義務である以上それを全うするのもやはり当然ではないでしょうか。
義務を果たさないことで煩わしい手間が増えたり、自分の大切な財産が差押えられるのも困ります。
自分や周りの人を守るためにも年金保険料についてしっかりと理解をする必要があります。
また、前納制度を上手く使って少しでも支払う保険料を安くし、快適な老後を過ごしたいですね。